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【聴きごろＣＤ】工藤静香「ＭＹ　ＰＲＥＣＩＯＵＳ」
(夕刊フジ)

女の情念を歌った膨大な中島みゆきのライブラリーから１１曲を厳選した工藤静香のカバーアルバム「ＭＹ　ＰＲＥＣＩＯＵＳ」（ポニーキャニオン）。ボーナストラックには静香の持ち歌「激情」「雪・月・花」「Ｃｌａｖｉｓ－鍵－」の３曲も収められ静香節でみゆきワールドが堪能できる。

１曲目の「空と君のあいだに」は、オリジナルよりマイルドだが、「やまねこ」「土用波」では、骨太のロックで女の性（さが）を歌いあげる。何とカッコイイことか。銀座にこんなママがいたら、毎日、通って身上をつぶしてしまいそうだ（笑）。

増田恵子が歌った「すずめ」やＴＯＫＩＯの「宙船」も完全に手中に収めて、力まず、おおらかで、ふくよか。

３８歳。２児の母になった静香の叫びがこめられたような「命の別名」は良い選曲。この歌が生まれた頃は、不景気のどん底で、リストラの嵐が吹き荒れ、神戸児童連続殺傷事件があった。約１０年後の今、聞いても色褪せないのは歌の普遍か、世の無常か。